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表題の通り、とりあえず、あたしはその現場に住んでるわけで、まとめ、解説をそれなりに。 発端: コロンビア発表:3月1日未明、小部隊がパトロール中、国境(川です。)のエクアドル側から攻撃を受け、それに反撃した。エクアドルの主権は侵害していない。 実際: 襲撃したキャンプはコロンビア国境から7Kmの距離がある。コロンビア軍の攻撃は固定翼機による事前爆撃から始まり、その後のヘリボーン、掃討まで、事前計画無しでは不可能な作戦。また殺害したFARCNo.2司令官の遺体のみを収容、コロンビアに運んでいる。(その他ゲリラの遺体は放置) 反応: エクアドル側:日曜日のエクアドル大統領ラファエル・コレアの談話では、深刻な事態ではあるがコロンビアのウリベ大統領と電話会談を持ち、話し合いで解決したい、と表明。 コロンビア側:日曜日午後、警察長官が記者会見。プリントアウトした書類を示しながら、エクアドル内国安全保障大臣ラレアのFARCとの接触を暴露。またこれにはコレア大統領も関与していると発表。 ベネスエラ:日曜日午後、ウーゴ・チャベス大統領、コロンビアの行動を「戦争行為」と非難。ベネスエラ軍の兵力のコロンビア国境への移動を命令。 エクアドル:エクアドル政府はコロンビア警察長官の記者会見を受けて、日曜日中に外交関係断絶を発表、直ちに駐コロンビア全外交官を引き上げ、また、エクアドル駐在のコロンビア外交官に退去命令。 ベネスエラ:エクアドルと同様、コロンビアとの外交関係を断絶。外交官引き上げ。 エクアドル:月曜朝、コレア大統領は声明を発出。コロンビアの越境攻撃は偶発的なものでなく、計画されたエクアドル主権の侵害と断定。ウリベ大統領のそれ以前の説明は嘘と糾弾する。 エクアドル:月曜夜、コレア大統領とラレア内国安全保障相が記者会見。FARCとの接触は誘拐者解放の交渉と説明。また、FARCのエクアドル領内侵入を阻止しなかったとの非難には、コロンビア軍がそれをすべきと反論。 米国:月曜日の段階で、コロンビアの行動の容認を表明する。対テロ戦争の同志と評価。 南米諸国:一般にエクアドルに同情的。ブラジル、ペルーは中立的立場として、仲介の意思を表明。 米州機構:ここでも、エクアドルの立場に理解を示す、非公式表明。本日(火曜日)午後3時 より緊急会議予定。 と、かいつまんだ、経過説明です。 これまでの感触では、今回の件でコロンビアに逃げ道はありません。事実、コロンビア政府の発表は全てエクアドル現政権とFARCの関係を取り上げたものだけであり、これは「計画された越境攻撃」という、戦争行為を行った事実から目を逸らさせようとする、プロパガンダでしか無い、とうのが大方の見方です。 最初の警察長官記者会見でボタンを掛け違った、という印象があります。あの時点で、エクアドル現政権閣僚と大統領批判ではなく、あくまでも偶発事件という態度を貫いていれば、ここまで問題はこじれていませんでした。コロンビア軍による越境は日常茶飯事に近く、偶発で済ませるなら、これまでと同様の処理が可能だった。あの警察長官の会見が放映された事で、エクアドル政権は態度を硬化、また、ベネスエラのチャベス大統領にコロンビア非難の格好の口実を与える事になった。 もっとも、以前、フランス政府によるベタンクール女史救出計画でのFARCとの接触を非難した前歴があるウリベ政権ですから、誘拐された人の安全より、政権の面子とテロ撲滅を推進する米国への印象を重く見る傾向は今に始まった事では無いとは言えます。また、最近はベネスエラのチャベス大統領の説得により、FARCが人質の解放を進めている事も、ウリベにとっては面白くなかったと思います。 ただ、ウリベの大きな読み違いは、アル・カーイダなどと違い、FARCとの接触が政権に取り致命的では無かった事です。エクアドル憲政議会(今は昨年の国民投票で一般議会が停止され、新憲法制定のための憲政議会になっています。)では、声を荒げて政府を追及している議員もありましたが、「越境攻撃」という国家主権侵害の事実の前には説得力を持たず、街の声はこれら議員を「コロンビアの回し者」と罵る声が多く聞かれます。 このウリベの読み違いは他の南米諸国でも同じで、現政権閣僚のFARCとの接触を重く見る処は無く、問題は国境を尊重しないコロンビアの行動であるという部分では一致しています。この読み違いは、これまでウリベ政権が南米の問題(主に経済問題)から距離を置いて来た事が大きな影響を持っています。ウリベ政権はプラン・コロンビアによる米国からの援助により、経済的に大きな問題を抱えていませんでした。そのためか、アルゼンチン危機などの重大な問題には、我関せずの態度を取ってきました。この結果、昨今の資源高騰による南米各国の経済状態の改善とそれに付随しての発言力の上昇に乗り切れない面がありました。それゆえ、米国のバックを必要以上に全面に出し、相対的に低下傾向にある南米での地位確保計る必要性に迫られていたと想像出来ます。しかし、すでに南米諸国は過剰な対外債務による経済的従属から脱しつつあり、逆に現在ではその持てる資源ゆえに、世界の政治的動向を左右するまでになっています。さらに、中南米でのゲリラはその根幹が経済問題であり、イスラムゲリラのように、宗教に依拠した精神的対立では無く、経済状況が好転すれば自然的に宥和が可能である事はニカラグアやエル・サルバドルなどで実証されている事も、コロンビア現政権が考慮しなかった一つでした。 ともあれ、今回の件ではコロンビアは自ら逃げ道を断ってしまった感があります。エクアドルもベネスエラも南米最大規模の陸軍を持つコロンビアに軍事侵攻する能力はありませんので、コロンビアが軍を動かさない限り、戦争と言う事態には至らないと思われますが、どう転んでもコロンビア有利な解決は期待出来ません。エクアドルのコレア大統領は、すでに「外交的謝罪」では解決できないと明言していますので、なんらかのコロンビア側譲歩が無い限り、コロンビアが南米で孤立する可能性は大きいと思います。このままコロンビア現政権が折れなければ、早晩、コロンビアが採れる選択肢は「軍事行動」だけになります。 しかし、コロンビアの軍事行動を「無い」と言い切る自信はありません。理由はウリベの行動と警察長官の記者会見のギャップです。ウリベが最初にコレアとの電話で説明したのは「偶発事件」としてでした。ところが、警察長官会見はそれを根底から否定し、エクアドル現政権とFARCの関係を強調するものでした。このギャップが意味するものが、コロンビア軍の軍としての意思であるならば、戦乱は避けられないかも知れません。それは軍の暴走を意味するからです。 今現在、コロンビア政府はその見解を変えておらず、はてはウラニウム入手などというデマゴーグに近いものを、なんらの物的証拠無しに提示し始めています。これは外交的には非常に稚拙と言わざるを得ない。ブッシュ政権がイラクの大量破壊兵器問題で陥ったジレンマと同様の状況になりかねません。それでもブッシュ政権は米国という世界最強国の政権であり、その言葉には力の裏付けがありますが、コロンビアはそうではない。南米のイスラエルの地位を模索できるほど、米国内での政治的力も無い。 いったい、コロンビアはどう落としどころを探るつもりなのか、非常に心配です。また、米国も、あまり無条件にコロンビアのこの件に肩入れするのは、外交的には得策ではないでしょう。南米諸国の反発は今後の米資源調達政策に大きな影響を与えます。その辺の落としどころを米国がどう模索するのか、今の米国務省では期待薄かも知れません。 |
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南瞑様、こんにちわ。 |
myu5 2008/03/05 10:17 |
myu5様 |
南瞑 2008/03/06 08:01 |
お返事ありがとうございます。 |
myu5 2008/03/07 11:52 |
政治学者の櫻田 淳さんのブログで、この事件に関連した記事がありましたので、 |
MUTI 2008/03/09 06:28 |
myu5様 |
南瞑 2008/03/13 15:29 |
MUTI様 |
南瞑 2008/03/13 15:32 |
とても分かりやすい話をありがとうございます。 |
shosuzki 2008/04/20 21:03 |
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